医療法人社団大地の会 本郷ファミリークリニック
院内の情報整理を仕組み化し、脱属人化を図る。統一したルールは”医療の質”を維持し、クロスログはその基盤になるシステムです。
- エリア:東京都文京区
- 使用電子カルテ:モバカルネット
- 患者数:約200名(割合 居宅 8/施設 2) ※インタビュー時
- 特徴:各診療科の専門医が在籍している(診療科目の多さ)
内容 | |
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導入前 | 電子カルテだけで予定管理をしていたが、操作の問題で業務が属人化していた |
導入後 | 情報の格納場所が多く整理がしやすくなった。それにより仕組を構築することができ脱属人化ができた。また、患者の個人情報を院内でも守れるようになった。 |
東京ドームのすぐ近くに拠点を構える本郷ファミリークリニック様。
商業施設や病院が多いエリアでどのように在宅医療を提供し、また、クロスログがどのように活用されているのか。
今回は院長の吉田有法先生と相談員の景山さまにお話しを伺いました。
Q.まずは貴院についてお伺いします。
吉田院長:
当院は、今から8年前にこちらの東京都文京区で開業しました。
開業当初は外来診療も行っていましたが、ここはエリア的に居住区が少ない地域です。
そのため、7年前に外来診療だけではなく、訪問診療に特化したクリニックに転換することにしました。
現在は約8割が文京区の居宅患者さん、合計で約200名ほどの患者さんを診療しています。
24時間365日緊急往診対応を行いながら、通常の定期診察は9時から18時まで診療し、1日2~3レーン稼働しています。
当院の特徴は、専門医が多く在籍していることです。元々内科医だけでしたが、近隣に大学病院や病院が多くありそのご出身の医師の開業も多く、競合が多いエリアです。
生き残るために何か特徴を作らなければいけないと、戦略的に専門医を増やしました。現在は皮膚科医や精神科医なども在籍しています。
訪問診療は通院が困難な方が対象になるため、診療科によっては通院が必要になることは患者さんにとっても負担になります。
各診療科の専門医が在籍することで、当院で多くの医療を患者に提供することができ、それが患者さんの負担軽減にもつながっています。
Q. クロスログを導入する前はどのような課題がありましたか?
操作性の問題により業務が属人化していた
景山さま:
当初は電子カルテで予定管理を行っていました。
ドラッグアンドドロップでの予定移動が簡単にできてしまうことで、意図しない予定が変更になっていたり、予定の削除も1クリックでできてしまったりしていたため、予定の抜け漏れのリスクがあり、リスク回避のためにも予定管理を複数人ですることができませんでした。
- 予定の管理の容易性(ミスに対する予防線がある)
- 視認性の高さ
- 誰でも使える操作性
この問題を解決するために、新しいシステムを導入することを検討しました。
初めは、クロスログ以外の他サービスにも話を聞きました。
サービスの内容を聞き比較した結果、クロスログは訪問診療に特化しているため、”やりたいこと”が明確でした。
誰でも使える、誰が見てもわかるという利点はクロスログが上回っているように思えたので、クロスログを選びました。
Q. 導入時の苦労はありますか?
吉田院長:
導入してから大変だったことは特にありません。
というのも私が決断し、その決断までのプロセスを院内できちんと共有しているからです。
新しいものを取り入れる時に、急に導入すると軋轢が生まれます。そうならないためにも、何のために取り入れて、どう運用していくのか、事前に院内に共有しておくことが大切だと思っています。
景山さま:
それに加えて、当院の風土として、変化に対する柔軟性があると思います。
普段から何でもやってみること、またやってみてダメならやめる選択も含め、課題解決のために新しいサービスや取り組みを柔軟に取り入れるチャレンジ意識が院内にある気がします。そのため、クロスログの導入も心理的なハードルは低かったです。
もともと電子カルテだけで予定管理をしていましたが、早い段階で周知し、操作に慣れるよう事前準備を行っていたため、切り替えはスムーズでした。
「○月○日から予定管理は完全にクロスログになります!」と期限を設けることで、スタッフ同士もそれに向けて準備をしていたため、導入してから大変だったことはありません。
Q. クロスログを導入してどう変化しましたか?
・ 情報の一元管理とルール化で、誰でも同じ情報を共有・活用できる ・ 業務の標準化により、"医療の質"を保つことができる ・ 情報管理のルール化が、副次的に個人情報保護にも繋がった
吉田院長:
立場上、当日の全ルートを確認していますが電子カルテを開くよりもよりスピーディにルートを確認できるようになりました。
電子カルテの場合はカルテの中の一部の機能としてルート確認がありますが、クロスログの場合は訪問診療に特化したシステムです。
訪問診療の肝になるルートの確認が、いつでもどこでも、1クリックで確認できるということはとても便利なことだと思っています。
景山さま:
クロスログの強みは、持ち出す情報を選択することができるところだと思います。
当院は出力機能の日別全体を出力して看護師さんがその紙を持ち出していますが、その中には必要な情報が一覧になって載っています。
ワクチン接種や集金などその日にしなければいけないことや、入室方法・ご家庭のルールなど、訪問にあたって必要な情報をクロスログに登録しています。
これまで散らばっていた多くの情報を一つにまとめることが困難でしたが、必要な情報をまとめて一覧にする、しかも一瞬で出力できるのはとても便利です。
クロスログにはカルテ情報とは違う情報を登録しています。
診療に関する内容は電子カルテに登録し、クロスログには訪問するにあたってその患家の個別ルール(入室方法・キーボックスNO.や処方箋原本の取り扱いなど)を登録しています。
情報を分けて管理することで共有される情報が統一され、訪問したスタッフが違っても患家のことがわかる状態になります。
そして、情報を各カテゴリーに分けてそれぞれの機能に登録することで、その副作用として個人情報の保護にも役立つことができました。
電子カルテは個人情報の塊です。全員が電子カルテを見て訪問することは、個人情報保護の観点からとてもリスクがあります。
ドライバーは患者さんの氏名や住所の情報、看護師はそれに患家の情報を加える、など必要な情報だけを必要なスタッフに共有することができるようになりました。
持ち出す情報を最小限にすることは、情報漏洩のリスク軽減にもつながります。
Q. 他にもよくご利用されているクロスログの機能はありますか?
景山さま:
クロスログの”マイマップ機能”はとても便利に使っています。これは他にない機能です。
診療エリアの区境をマップ上に表示しているので、とても見やすく便利です。
患家分布や当日のルート一覧がマップ上で一目瞭然なため重宝しています。
|マイマップ機能とは
独自の地図をクロスログのマップに表示させることができる機能。
診療エリアのほか、被災想定区域を表示することで患家の位置が視認しやすくなります。
例)被災想定区域
Q. 貴院の今後の展望についてお聞かせください。
景山さま:
当院は医師と看護師で訪問していますが、医療提供のための時間を最大限確保できるように日々考えています。医師が、患者宅で患者さんに向き合う時間が訪問診療の本質です。
再現性の高いシステムやツールを使うことで、少ないスタッフ数でも院内で協力して効率よく訪問できます。
院内の仕組化や、新しいものを取り入れてもっと活用していきたいです。
吉田院長:
景山さんが言ってくれた通り、1名の医師が診療できる患者数は時間的な制約があります。
その中で効率良く丁寧に診療していくためには、やはりシステムをうまく活用していくことが大事だと思っています。
診療報酬の点数は全国一律で決まっているので、エリア的なコストの差を埋めるためには訪問件数をあげるしかない。
クリニックを経営していくために件数をあげる、また、訪問の抜け漏れのミスをなくす
ためにも、新しい技術を取り入れていくことは必要不可欠です。
訪問診療の本分は診察。患者さんとお話する時間を大切に、今後も試行錯誤を繰り返しながら取り組んでいきます。
新しいシステムや取り組みをどんどん取り入れ、「効率化」「仕組化」を常に追い求めるところに、安定したクリック経営のコツがあると思いました。
あくまでもクロスログというシステムはツールであり、どう活用していくかで最大限にその価値を引き出し、それが院内の効率化につながっていることを感じたお話でした。
お忙しい中インタビューのご協力いただき、本当にありがとうございました。
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