豊田地域医療センター
スタッフ全員がスマートフォンで業務ができるようになり、様々な職種で効率化を実現しました
コミュニティ・ホスピタルの先駆けである豊田地域医療センター様。
今回は、こちらの5名様にインタビューさせていただきました。
- 近藤敬太先生(在宅医療支援センター長)
- 渡邉賢秀先生(在宅医療支援センター部門長)
- 坂井友香様(在宅医療支援センター係長 事務員)
- 福村彩乃様(事務員)
- 舟山和子様(豊田地域訪問看護ステーション主任)
まずは貴院についてお話しください
コミュニティ・ホスピタルのはしりとして、教育にも力を注ぐ
近藤先生:
当院は、190床の病床があるケアミックス病院になります。病院が在宅医療を提供しているので、いざ入院が必要になったら、当院の病棟に入院して患者さんを診ることができます。
常勤医師が20名ほどで、約700名の患者さんを交代で対応しています。
医療的ケア児からご高齢者、がん末期の方やご自宅で強心薬を持続投与している患者さんまで、幅広い患者さんを訪問診療しているところが当院の特徴です。
また、エリアも広く、豊田市は愛知県の中で一番大きな市で、当院から16km以内を広くカバーしています。
当院は、藤田医科大学総合プログラムで総合診療を専門にする専攻医(後期研修医)が勉強に来ています。
総合診療の勉強はクリニックでも大規模な病院でもできますが、当院は外来も病棟も在宅医療も行っているため、研修の中心となる病院となります。
多くの総合診療医が在籍し、重症な患者さんも多いので、じっくりと時間をかけて一人一人診られるように、チームでの診療体制や教育に力を入れています。
クロスログ導入前の課題は?
近藤先生:
当院では患者さんに主治医を決めていますが、専攻医ががん末期の患者さんをいきなり一人で診ることは難しいため、1ヶ月間は必ず指導医を付けて二人体制でフォローしています。
そのため、指導医と若い医師のルートを調整することがかなり難しかったです。
ルートを考慮するのにとても時間がかかって大変でした。
渡邉先生:
元々、電子カルテに付随する訪問診療の調整アプリを事務員が使用していましたが、仕様上少人数しか使うことができませんでした。
職種によって使っている予定管理ツールが違ったことで、情報の齟齬など、お互いに予定の確認が困難で、当時はそのような問題に直面していました。
舟山様:
翌日のスケジュール調整を、1時間以上かかって行っていました。
そして、訪問の抜け漏れの多さ。これが一番の課題でした。
坂井様:
豊田市は市街地と山間部の差が大きいエリアです。
事務が持ち出し用のパソコンを準備していますが、以前のアプリでは患者さんの住所から場所を把握することが難しく、どのパソコンをどのチームに割り振りをすればいいのか、管理が大変でした。
福村様:
以前は予定を外で見ることができず、事務所のインターネットがつながったパソコンからでないと予定が見られませんでした。
そして、出先で見られたとしても画面がすごく見にくいものでした。
クロスログ導入のきっかけは?
近藤先生:
一番のきっかけは、使っていた前のシステムのサポートが終了したことです。
次のシステムは何がベストかを色々検討しました。
クロスログは、スタッフアカウントの概念も柔軟で、当院では診療以外にも様々な職種があるため、全員が使いやすいシステムを考えた結果クロスログがいいかな、と思いました。
みんなが共通のツールを使い職種をまたがって予定を見ることは、診療もしやすくなります。
それには2つの理由があります。
多職種で共通の予定管理ツールを使用するということ
近藤先生:
ひとつは、当院の訪問看護ステーションは7割くらいが当院の診療を受けている患者さんであり、同日に同じ患者さんが訪問しないように確認することが楽になりました。
また、今日診療の訪問予定が入っていれば、看護師が電話して聞きたい事を聞く、など確認作業が楽になりました。
もうひとつは、当院の訪問看護ステーションの看護師が、医師の同行看護師も行っていることです。
医師と同行して診療のサポートをしてもらいますが、特に若手の医師は看護師さんから教わることも多いのです。
救急外来などで研修をすると看護師さんから教えてもらうことばかりですが、同じように訪問診療も看護師さんから教わる環境を作りたかったのです。
しかし、診療の補助と看護の業務を両方できることは誰でもできるものではないので、担当になった看護師はとても大変です。
担当になった看護師からは、クロスログで訪問か同行の予定かすぐにわかるようになったため「楽になった」と言われました。
クロスログ導入後の変化は?
渡邉先生:
スマートフォンで自分の予定が確認・管理できるようになったことは、かなり大きかったです。
予定の確認に伴い、ルートもすぐに確認ができます。
その日予定が入っている患者さんのルートをまず確認して、移動の距離感を確認します。
また、マップを見ながら「ルートの一括変更」機能もよく使っています。
管理者としても、全体のルートが確認できるため、医師の急な休みにも予定の振り分けが楽になりました。
坂井様:
現在は、クロスログの「メモ機能」で物品管理をしています。
物品を交換した日と次回の交換日をメモに記入して、事務で物品の準備をしています。
医師もクロスログを見れるようになったことで、「やっぱり別の日に交換しよう」ということができるようになりました。
メモの量が多くなっても「タグ機能」があることで、気を付ける患者さんがすぐにわかるため、注意してメモを読む患者さんがわかりやすいです。
また、私はレセプト業務も担当していますが、予定アイコンを使って予定の種類を共有しています。
スケジュール管理チームとレセプトチームの情報共有ツールにも役立っています。
福村様:
クロスログで全体の予定が見やすくなりました。
当院は最大で13コースほど稼働しています。そのため、全体を把握できていないと急な往診時に「誰に頼めばいいのか」がわかりません。
全体のルートがすぐに確認できるようになったことは、以前と違うとても大きな変化です。
事務の業務のひとつに毎朝薬局に当日の予定をFAXしています。
今まで毎朝定時よりも早く出勤して、手書きで書類を準備してFAXをする。それが今では定時に出勤しても目標の時間に終わるようになりました。
クロスログを導入した時は、出力機能が月単位だったため使えませんでしたが、カイゼンの要望を出して今では日別で出力できるようになりました。
これまでは手書きでその業務をしていたので、かなり効率化されました。
舟山様:
クロスログを導入して訪問の抜け漏れは減りました。
また、1時間以上かかっていたスケジュール調整する時間も、感覚的には半分くらいに減ったと思います。
これまでのフローでは確認するページが多く、それが「調整しづらさ」になっていましたが、クロスログでは一つにまとまって、予定のチェックがしやすくなりました。
運用を定着させるコツ
渡邉先生:
わかりやすいルールを、きっちり決めてしまうことです。
運用上のルールを明確にして、文字に起こし、全員に「こうするからね」とルールを決めてしまえば楽です。
当院の場合は医師が20名近くいるため、以前全員にざっくりとした使い方を伝えてしまったため、各々が思い思いの方法で使ってしまいました。
そうすると事務員さんが混乱してしまったという経験があるため、細かいところまでルールを決めてやっています。
他の病院にクロスログをおススメできるポイントは?
近藤先生:
今後、ますます在宅医療の需要が増えて来ると言われています。質が高く重症な方まで診られる在宅医療を全国で展開していかないと日本の医療が大変になると。
在宅医療に関して、件数が多くない場合は必要性を感じていないかもしれないが、100名200名と患者さんが増えてくると、医師や他の職種でも課題にぶつかります。
私たちもどうすればスケジュールが効率化できるのか考えました。
当院にもスーパー事務員さんがいて、ルート調整が得意な方がいるのですが、一時期別のシステムを入れて実験しましたが、どうしてもそのスタッフには勝てない、ということがありました。
そこで今回クロスログを導入してわかったのですが、システムがスタッフに勝つのではなく、そのスタッフがクロスログを使うことでより強力なものになる、ということです。
そのスタッフがクロスログを使うことで、頭の中が可視化され、やってたことが言語化されます。
それが共有してみんながわかるようになったため、当院の訪問診療はより強くなりました。
貴院の今後の展望を教えてください
近藤先生:
当院が目指しているものは、コミュニティ・ホスピタルという病院です。
今では色々な病院が使ってくれているコミュニティ・ホスピタルという概念ですが、今回の診療報酬改定でもあったように、中小病院にはなかなかに厳しく風向きが強いところもあります。
しかし、地域には絶対に必要なものだと思っています。
それは外来、病棟、さらに在宅医療も提供できて、それ以外でも地域の人が集まるなど、地域の中心になる病院は中小病院です。
本当に重症になった時には高次医療機関、普段の相談はかかりつけのクリニック、そして時々入院してたまに在宅医療をしてくれて、というような病院が地域に一つあることは、その地域にとってとても大事なことです。
私たちはコミュニティ・ホスピタルの中心としてどんどん発信していかないといけないし、地域で何世代にも渡って愛される病院、今を生きている方だけでなく、未来を生きるみんなを支えられる病院を目指していきます。
その中で、在宅医療のためにクロスログさんが色々と協力してくれるととても心強いと思います。
クロスログの導入で、共有することのメリットや業務の効率化を感じていただき、嬉しく思います。
皆さま、ご多忙の中インタビューにご協力いただき、本当にありがとうございました。